ひと段落
スタジオのリサイタルの前日、母の余命宣告を受けてから、
この日からの1ヶ月、夢の中で過ごしていたような不思議な感覚でいました。
できるだけ母が家で過ごせる時間を作ろうと、父や叔母と話し合い、結婚してから20年ぶりの実家生活。
実家に帰省するとつい甘えてばかりだった私は、母からろくに主婦業ができていないと思われていて、
ああ、これなら安心だわと言われ、
ふと大学生の頃、母が手術で入院した時に、病室で思わず泣きじゃくってしまい、まだこの子を残して死ねないわと思った。
と言っていたその時の記憶も蘇ってきました。
子どもの頃から当たり前のようにに過ごしてきた家族との時間は、記憶も消えていくものだと思っていたけれど、ふとした時に蘇るたくさんの記憶の断片。
1日介護した後、リビングの雨戸を閉める時に見える三日月に癒され、一日過ごせたことに安堵して。
母もきっとここから見える月に日々癒されていたのだろうな、と。
話すことがもうつらかったので、聞かなかったけれどなんとなくわかる。
励ましてくれた友人、生徒さん、ダンサー仲間や関係者の方々のお気持ち、とても励みになりました。
どうもありがとうございます。
母の介護をしてくれた職員さんやケアマネさん、病院関係や市の方々には、一人の人の終末をこれほどサポートしていただき、
心を通わすことができ、母はとても温かく愛に満ちた人生の幕を閉じることが出来ました。
家族と過ごした時間は、長いようで短くて、いろんな思いや感情で溢れていますが、
心は自分でも驚くほど穏やかで満たされていて、母が心の中で生き続けているかのようです。
もう一度母に踊りを見て欲しいという思いはありましたが、
最後にライブの動画を見せたら、元気をもらえたと喜んでくれて、それだけでもよかったです。
踊りは生きているからこそ輝く、生きる喜びを全身で表現できる踊りと出会えたのは、母のおかげです。
心を響かせて母の分も生きていこう。