生徒さんからのお悩み相談①
Q.年齢的に体が硬くなっているので、膝や腰を痛めない踊り方を知りたい。
ベリーダンスを習い事で学ぶレベルの場合、一般的に体への負担が少なく、むしろ体の不調が和らぐ場合が多いと言われています。
ベリーダンスは腰を良く動かすと思いがちですが、実際は下肢を使って動かしています。
主に内転筋と臀筋を良く使うのですが(きちんと使えていたら痛めることのない筋肉です)
私のレッスンの場合、アクロバティックな要素の強いものは、通常のレッスンでは教えていませんので、痛める心配はさほどないかと思いますが、
ベリーダンスを始めたばかりの頃や、体の癖が強い場合、下記のような体の使い方をすると痛める可能性がありますので、注意してください。
膝をロックしてしまう
ベリーダンスの姿勢をとる時に、膝を緩めてと必ず伝えていますが、慣れないうちは力が入りすぎて膝がピンと張ってしまう場合があります。
例えばヒップシミーは、腰を落として膝を前後に動かしますが、膝が伸び切ることはありません。
臀筋を使えておらず膝を伸ばしてしまう方が多い動きです。
ヒップアタックも同様に、強くサイドにアタックした時に、膝も一緒に伸び切ってしまう方も見受けられます。
フィギュアエイトの際は、膝と足首を緩めますが、力が入った状態では膝に負担がかかりやすくなります。
ベリーダンスのベーシックな動きをする時には、必ず膝を緩めてください。
腹部でなく腰部を使う
ベーシックな動きをするとき、骨盤の状態によっては腹部が使えず腰の筋肉で動かしている方も見受けられます。
例えばマイヤーなどの動きをするとき、骨盤や姿勢のニュートラルを保てていないと、腰側の筋肉を使い痛めやすくなります。
骨盤はニュートラルに、腹部は引き上げる姿勢を心がけましょう。
下肢の力を使えていない
ベリーダンスは足の母趾球(親指の付け根)を使い、床と反発する力で動かす動きも多々あります。
親指側にしっかり重心が乗ること、ルルベ(踵を持ち上げた状態)の時に小指側に乗らないことも大切です。
ルルベから膝を軽く曲げ安定しない方は、足指が極端に硬い可能性もあります。
普段から足指をグーパーしたり、タオルギャザーを行ったり、青竹踏みやボールなどを使い足裏を良くほぐしましょう。
日常生活で気をつけてほしいこと
以上の点を気をつけてレッスンでも指導していますが、どうしても体の癖が治らない場合、普段から正しい姿勢を心がけておくと良いと思います。
残念ながら、現代の生活スタイルでは、座っている時間が長く、スマホやPCによる不良姿勢から、若くても体が硬い方も大変多いです。
ベリーダンスを踊っている時間よりもはるかに長い、私生活でどのように過ごしてきたかが、踊る時にも表れてしまいます。
レッスン前に行っているストレッチだけでも、日常に取り入れるだけで体は変わってきますので習慣にしてみてください。
また体が硬くてお悩みの方も、ベリーダンスが上手くなりたい方も、これだけは意識しておくと良いと思うことをお伝えします。
エロンゲーション
エロンゲーションとはピラティスでよく使われるのですが、「伸長」という意味があり、その意味の通り伸びることを意識していきます。
普段のレッスンでも、頭上を天井に引き伸ばすよう姿勢に意識してもらいますが、日常でも時々この姿勢を意識してみてください。
頭頂は天井へ引き伸ばし坐骨は地面へ、お互い引っ張り合い、同時にお腹と胸を引き上げる意識を持ちます。
このように背骨を伸長させることによって、加齢や姿勢の悪化などによって潰れ、伸び感が失われた背骨本来の動きを取り戻しやすくなります。
また背骨を伸長させることで、姿勢や骨盤を安定させる筋肉、腹横筋・横隔膜・多裂筋・骨盤底筋といったインナーマッスルが働いてきます。
ちなみに腰痛の方は、腹横筋の働きが弱い方が多いと言われています。
良い姿勢を意識するときに、肩甲骨を引き寄せ胸を張りがちですが、この姿勢はNGですので気をつけてください。
背骨の伸長を意識することで、姿勢も良くなり、ベリーダンスも上手くなりますよ♪
大腿部のストレッチ
腰痛や膝の痛みとつながりが深い大腿部。
ダンスを踊る人はもちろんのこと、普段どんなに体を動かさない方でも、太もものストレッチだけは習慣にした方が良いです。
①長座ができない、前屈で床に指先がつかない
ハムストリングス(大腿後面)の筋肉が硬く弱くなり、骨盤は後傾しやすくなります。
→ハムストリングスのストレッチを重点的に
・寝た姿勢から
踵にタオルを引っ掛け少しずつ膝を伸ばしていきます。
・立った姿勢から
高さのあるところに片足を乗せ、足首を90度フレックスにし上体を倒していきます。
②反り腰、骨盤が前傾気味
太ももの前側、外側が張り出しやすく、腰痛や股関節痛、膝痛の原因にもなります。
・太もも前面のストレッチ
座った状態または寝た姿勢から、片膝を折りかかとを坐骨に近づけます。
この時なるべく床から膝が浮かない、骨盤は後傾を意識することがポイントです。
・太もも外側のストレッチ
座った状態で膝を立て、片方のかかとを膝に乗せ、4の字を作ります。
この時なるべくかかと〜膝を一直線に、背筋を伸ばします。